繰り返されてきた災害時の教訓をどのように生かせばよいのか。南海トラフ巨大地震では最悪の場合、約32万3千人が死亡し、そのうち津波による死者が23万人を占めるという。経済的な被害に至っては、国家予算の2倍以上にあたる総額215兆円に上ると推測される。重要なのは、いつ起こるかもしれない大災害に備えた「命を守るまちづくり」である。医療機能を守るためには、病院の立地や耐震等の災害対策はもちろんのこと、まち全体で安心・安全を確保する仕組みづくりが必要となる。本稿では、宮城県気仙沼市並びに南三陸町の医療再生を改めて検証する。被災直後から復旧、復興にいたるまでの成果や課題を首長や医師、自治体職員に取材した。現場の生の声は、これからのまちづくりや災害現場、平常時の防災・減災の参考になるに違いない。