これからの医療経営は、環境変化に対応する経営戦略のもと、地域が求める病院づくりを行わねばなりません。一方で病院の建替えは30 ~ 40 年に一度とされる大事業であり、その範囲は事業計画から設計、施工、開設準備まで多岐に及びます。発注者側にそうした経験や知識をもつ職員は少ないため、外部コンサルタントによる支援が有効です。CM の導入は発注者にとって以下のメリットがあります。
➊ 職員が十分に確保できない状況において、CMr の技術支援でマネジメント機能を補強できるとともに職員のスキルアップにつなげることができる |
❷ CMr が提供する調査結果や各種情報、方策を比較検討しプロジェクトに活かすことができる |
❸ CMr が発注者の側に立った第三者として事業全体を把握することで、チェック機能が向上する |
❹ 発注プロセスの透明性が確保できたことで、事業の公平性とともに市民に対する説明責任を達成できる |
❺ CMr がヒアリング結果を適切に整理することで、発注者の想いを予算の範囲内で設計に取込むことができる |
➏ CMr が要求水準書や技術提案書の作成要領・評価要領等の専門知識を要する書類作成を支援することで、発注者の正確な要望を設計者に伝えることができる |
❼ CMr が発注者と設計・施工者間の会議に参加し建築・設備等の専門的な問題を調整、解決することでスムーズな運営ができる |
➑ 適切な発注方法に基づくコスト、品質、スケジュール管理により、ローコスト・高品質な病院を予定期間内に建設することができる |
❾ VE をはじめとするコストマネジメント手法の導入により、工事の品質確保や施設の価値向上を予算内で実現することができる |
➓ 維持管理費についてもCMr がライフサイクルコストをチェックすることでコストダウンにつなげることができる |
⓫ 地元発注機会の増加により、地元企業の育成や地域経済の活性化に貢献できる |
⓬ 適切な医療機器や医療情報システムの導入支援により、病院開設を滞りなく準備できる |
健康都市活動支援機構は17年間にわたる実績に基づき、医療経営と病院建築に精通した専門スタッフが発注者の想いを反映したローコスト・高品質の病院づくりを支援しています。特徴は次の4 つです
➊認定NPO法人なので利益を目的にしていないこと |
認定NPO 法人とは「運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する法人」であることが所轄庁より認められたNPO 法人を意味します。厳しい基準を満たさねばならないため、全NPO 法人(50,666)の約2%(1,243)のみが認定資格を取得しています。(2022 年8 月現在)当機構は2010 年の取得以来、健康都市の重要なインフラである病院づくりをソフトとハードで支援しています。 |
❷発注者の立場でプロジェクト推進を支援すること |
当機構は計画の初期段階からコスト管理、品質管理、スケジュール管理を第三者の立場で行い、発注者の想いを実現する施設整備を一定期間内に達成する支援を行っています。 |
❸発注者と設計会社・施工会社の橋渡しを行い、円滑なプロジェクト推進を行うこと |
プロジェクトを成功に導くには、関係者間の綿密で良好なコミュニケーションが不可欠ですが、多忙さや煩雑さ、専門性が障壁となり十分な意思疎通が図れないことが起こり得ます。当機構は会議や日常連絡で意見を調整し、関係者が相互理解のもとプロジェクトを推進する環境を整えます。また、関係者の意識改革やモチベーション、知識向上に向けた勉強会や他事例の紹介を行うことで、レベルの向上や前向きな情報交流を促進しています。 |
❹施設整備計画の初期から開業まで、オールインワンでのマネジメントが可能なこと |
当機構は基本計画から基本設計、実施設計、施工、開院準備に至るプロセスにおいて、調査分析から事業計画、プロポーザルの準備、発注支援、管理、情報システムや医療機器のコーディネート等を行い、経営戦略を踏まえた最適な施設整備を支援しています。中でも独自のメニューが「基本設計①」です。見積りに必要な建築的制限や必要前提条件を整理する内容で、より確実な質とコストのコントロールが可能となります。 |
「基本計画」「事業計画」「建設計画」「施工管理」「開設準備」を通して、最適な病院づくりを支援します。
地域医療の将来と病院の役割を見据えた「基本計画」をお手伝いします。日本では少子高齢化により、さらに医療費が高騰します。医療提供の効率化は必須であり、病床機能の細分化、病院の再編・統合が政策化されました。公立・公的病院を中心に多くの病院が再編・統合やダウンサイジングを検討する方向にあり、民間病院との統合も各地で起こっています。当機構では、このような病院改革の課題を「病院の将来性を見据えること」「診療機能と規模を最適化すること」を主な目標として以下の内容でお手伝いします。
現病院の長所や問題点、改善点を把握することが目的です。機構は病院の外部や内部の環境調査、院内ヒアリング、立地調査を行い、客観的なデータとして抽出します。
基本構想では「病院の将来像」を前提に、診療科目や検査項目、病棟構成といった骨格をまとめます。続く基本計画では、基本構想を概略図に落とし込むことで可視化し、診療機能や診療体制に基づく必要面積を算出します。当機構は、既存建物の面積分析等で現状の特徴を把握するとともに無駄を省いた最適な診療機能や病棟構成、病床規模を検証します。さらにそうした大きな枠組みを決めた上で大概算を算出し、基本構想・基本計画にまとめるお手伝いをします。
病院経営は診療報酬の改定により厳しさを増しています。利益率は低いレベルにとどまり、医業損益が赤字の病院が多く見られます。利益を出さなければ経営が成り立たないため、適正な「事業計画」を策定することが何よりも重要です。当機構は、このような病院経営の課題を診断し、適正予算に基づいた持続可能な事業計画を次のプロセスでお手伝いします。
収入分析と支出分析により、収入向上策や支出削減案を検討します。特に収入の50%を占める人件費に対して、適正配置での運営計画を検討
します。また、資金計画では補助金や低利融資制度の活用を計画し、無理のない資金繰りを検討します。
収入の最適化とコスト抑制の目標を掲げ、健全で安定的な新事業計画の実行を支援します。
病院の整備では「設計が20%進むとコストは80%決まる」と言われています。無駄を省くために、「基本設計前での予算確立」と「初期段階からのローコスト・高品質に向けた情報提供」を行います。
特に経営不全の原因として挙げられるのが、適正範囲を超えた診療機能や療養環境、アメニティ、職員の就労環境による面積の拡大による過剰投資です。当機構は、新病院の効率的運営を目的に、全てのプロセスを可視化した上で最適なプラン、精緻な建設概算、適正な建設工期を検討し、投資限度額に収まる建築計画づくりをお手伝いします。そのために、「経営効率と運営効率を理解する設計者」と「適正な建設単価と工期を提案する施工者」の選定を次の内容でお手伝いします。
適正な経営改善を目指すとともに過剰な投資にならないよう設計方針を確立します。
設計方針に基づき基本図を創り、目標予算を算定します。
最近では建設費の高騰を背景に、設計・施工会社を決定した後で、建設費が予想を大きく上回り、事業の見直しを迫られるケースが発生しています。リスク回避のため、早い段階で全体コストを確定させる発注手法を模索する必要があります。施設整備のコスト管理とスケジュール管理の成否を左右するのが発注方式です。国は「公共工事品質確保法」により、ECI 方式、DB 方式など多様な発注方式の検討と、CM 業務の外部委託を積極的に推奨しています。当機構は建設市場の動向を睨み、施設整備プロジェクトの特性を理解したうえで品質、コスト、納期の視点から、最適な発注方式を提案します。
設計者は数年間プロジェクトを共にするパートナーです。的確な設計提案能力はもちろんのこと、対応力や対話力が求められます。当機構は、「要求水準書」の項目や「技術提案書」のテーマ設定、評価基準の作成支援により、設計者に最適案を求めます。施工者も設計者同様のパートナーです。当機構はプロジェクトに合わせた施工者の選択を支援するとともに、技術提案におけるコストコントロールのVE や工期短縮に向けた施工技術の評価を行います。提案される設計案やコスト、工期については「見える化」し、評価や選定の助言をします。設計案とコストとのバランス評価は専門家でなければ非常に難しいため、明快な基準づくりが不可欠です。
施設整備費の8 割が基本設計終了時に決まるとされているため、この段階でのコストマネジメントは特に重要です。当機構は設計の打ち合わせ会議などに参画し、「要求水準書」や「技術提案書」に沿った設計内容を指示確認するとともに、設計の進捗に合わせた予算管理を行います。また、技術面で発注者と設計者を仲介する「通訳」の役割も担います。実施設計においては、デザイン・材料や設備の使い勝手等を発注者とともに検証します。当機構はここでも設計の打ち合わせ会議などに参画し、工事費のモニタリングやVE の検討、施工スケジュールの確認により実施設計、「もの決め」を評価し、進捗をマネジメントします。
建設工事の現場技術者を指揮監督し、工事全体を管理支援します。工事の進捗状況、コスト、安全、品質をコントロールし、工事スケジュールの延期や予算オーバーを防ぎます。設備変更や追加工事が発生した場合には、その見積り内容の確認を行います。また、書類作成や役所への申請手続き、設計・施工者との各種打合せも行います。
新病院での滞りない医療機能の移設・新設を支援します。稼働中の医療情報システムや医療機器の機能を停止させることなく、移設や増設、新規システムの選定や設置、ベンダーやメーカーの選定をコーディネートします。施工会社や各種事業者との連携により、建物の引き渡しから開業までスムーズな運用を支援します。
基本計画書を基に各部門からの要望をまとめ、システム化基本計画書や入札技術仕様書の作成、研修計画、導入支援、保守管理支援を行います。
各診療部門の特徴や要望を精査し、診療機能に合わせた治療・診断機器を提案します。医療機器・備品リストの作成からレイアウト、建築との整合、予算総額内での調整、入札支援、搬入支援を行います。